ウロボロスの波動 ★★★☆☆

図書館で借りた。
『SFが読みたい!2003』でベスト10入り。ハヤカワSFシリーズ《Jコレクション》第1弾。《Jコレクション》制覇計画進行中。
宇宙ハードSF連作短編集。感想を一言で言うと、真面目なハードSF。こじんまりした印象。暴走が無い。
太陽系に接近した小ブラックホールを無尽蔵なエネルギー源とすべく人工降着円盤を開発する団体、AADDを中心とした宇宙史と、ファーストコンタクトがテーマ。
掲載順は年代毎になっている。

それにしても、最近の日本の宇宙ハードSFは、必ずファーストコンタクトが付属しますが、ドロドロ系SFの塊魂と対を成す感じ。デザートとして外せないのはわかるが。

ウロボロスの波動

実は人工降着円盤の開発を中心に扱った話はこれだけ。でも、ウロボロス関連の設定と描写はイメージ喚起力ある。ミステリー仕立てのハードSF。オチは、しっかりハード。

小惑星ウプシヌプルクルの謎」

ハードSFショートショート

ヒドラの氷穴

エスピオナージュ系ミステリー中篇。AADDの組織論が中心だったり。理想的な組織を語るが、『宇宙の戦士』の軍隊論みたいで嫌な感じ。でも、それと関連したオチは面白かった。

エウロパの龍

これもハードSFショートショート

エインガナの声

こいつも組織論、というか宇宙世代人類の価値観を描いたというか。

キャリバンの翼

エピローグ。ちょっと端折り過ぎ。もうちょっとじっくり読みたい。