残虐行為記録保管所 ★★★★☆

残虐行為記録保管所 (海外SFノヴェルズ)

残虐行為記録保管所 (海外SFノヴェルズ)

刊行時、ちょっと気になってたけどタイトルでどん引きしてた。
毎日.jpの『屍者の帝国』インタビューで、伊藤&円城がゲラゲラ笑って読んでたらしいので手を出してみた。伊藤計劃言うところの、ぼんくら系。『ファイトクラブ』みたいな。
これ ↓

第3部はモダンホラーっぽいとか。第3部が急に軽くなるんですけど、あれは邪神ものなので……。チャールズ・ストロスが「残虐行為記録保管所」っていうSFを書いてて。ナチスが異次元空間に邪神召喚で秘密基地をつくって、イギリスの雇われスパイが「なんで公務員なのに俺たち戦ってるの?」っていう「駄目なSF」なんですけど。それを「すごくない?」って衝撃受けてるのが伊藤計劃と僕、っていう、もうすでに駄目なコンビで(笑い)。そういう話はしていて、「ボンクラ広がり」なんですけど、それは拾っておくべきでは?っていうのが、第3部書いているときに復活して、こういうことになりました。

あれ? ゲラゲラ笑ってはいないな。むしろ衝撃受けてるしw
内容は、クトゥルー、スパイ、数学、コンピュータあたり。現代イギリスを舞台に、クトゥルー的な邪悪なものの召喚を阻むスパイ組織<ランドリー>の新米工作員、ボブが主人公。
表題作の方は、ヒロインも出てきて、異世界で戦うSASも出てきて、尺も適度に短く、なかなか楽しめる娯楽作。ヒューゴー賞受賞の続編、「コンクリートジャングル」は、SFネタに笑った。けど、表題作のオチでも使ってるネタの発展だな。
自分もぼんくらなので、ピンポイントではまって楽しめた。続編翻訳期待。あと、映画の原作になりそうだと思った。
強いて欲を言えば、計算で召喚してしまうネタは、もっと発展できたらいいのにな。関連して、クヌースの本の4巻が20年出てないというネタは本当なのだろうか。(調べてみたら本書設定の2001年時点では合ってたみたい)