ノックス・マシン ★★★★☆

ミステリ作家・法月綸太郎による、本格ミステリを題材にした「本格」SF。
4編の中短編のうち、2つは創元の短編集『超弦領域』『NOVA2』で読んでた。表題作と「バベルの牢獄」だが、どちらも初読でぶっとんだものである。さすが本格ミステリ作家は考えることがアレだなあと思った。
本書で初読、ワトソン役大集合の「引き立て役倶楽部の陰謀」は愉快なメタフィクション、SF色薄。
ノックス・マシン2たる「論理蒸発」はイーガンの訳本みたいな題だが、内容も表題作に増してぶっ飛び。ちょっとだけ難を言うと最後の論理がバカSFなのにくど過ぎに感じたのと、表題作にも言え文系SFでたまに見られる虚数神聖視みたいなSF設定がちょっとだけ気になった。けど、どれも面白いから良いのだ。何もそこまで...みたいなオチに、主人公=著者の本格ミステリ愛を感じた。
4編の作中で言及される本格ミステリ作品はどれも有名で、大雑把な内容は知ってるけど読んだこと無いので、これを機に読んでみたくなった。
(追記) 『このミス』あたりで第 1位だって。ミステリを愛する本書はミステリファンにも愛されているらしい。