天冥の標 ★★★★ (X巻だけなら★★★)

 最終巻はご祝儀買い。

 

 はい。10年は長かったけど...

このような長いやつは、どうしてもGoT&氷と炎の歌と比べたくなるのよな。

特にGoTは、文句言うやつも多いけど大長編のラストとしては素晴らしく、

対してこれは...

 

まず全体として、I巻で提示された未来史に対し、II~VIII巻で徐々に近づく構成は斬新だった。特に起承転結で「転」にあたる大作、VI巻はシリーズの中でピークだったと思う。

あと、一番勢いがある時代のIII巻も良いかな。

 

しかし、そもそも基盤となるI巻(=VIII巻)が、あまり好きくないのよね。

だもんでそこからIX, X巻とクライマックスに来てもイマイチ盛り上がらなかったのだわ。

IXなどどんな話だったか思い出せない。地表に探検に行くやつだっけか。

 

そしてX巻。

一番面白かったのはX-1の艦隊決戦だった。しかしエンルエンラ頭悪すぎ。

X-2は、絶賛してる人が多いけど、物語的要請としてミヒルの打倒。あと主要キャラに地上戦をさせとく必要があった的な印象。いまひとつ、こんな構成になる意味が分からなかった。

X-3では、全体の中でのIV巻の必要性がようやくわかったかな。出来栄えはともかく。

そしてラスボス戦?は盛り上がり、良かったのだけど、やっぱり実質的に誰も死なないのな。また、本当のラスボス戦(広がってるほうのミスチフ)は描かれようがないのね。構成上こちらの趨勢が先に見当がついてるのも、どうもな。

 

著者あとがきを見ても、IXとXは難産だったようで。当初あまり考えてなかったんだろうな。あと、IVの出来栄えも自省がなされていた...