パンドラ ★★★★☆

パンドラ〈上〉

パンドラ〈上〉

パンドラ〈下〉

パンドラ〈下〉

『SFが読みたい!2006』第7位。
3年以上にわたってSFマガジンに連載された、ファーストコンタクトがテーマの大長編。著者あとがきにもあるように、レムやクラークぽい異質な知性との遭遇を取り扱っている。
連載だから各章にオチがあって読みやすい面もあるが、上巻後半のジャングル戦描写は、ひたすら長く感じた。
下巻の宇宙戦も同様にクドクドと話は進むが、ここが一番の読みどころだからしょうがない。《航空宇宙軍史》より更に地味に、現在の技術や政治状況からの飛躍はほとんど無く、準備段階から決戦に至るまで緻密な描写が続く。
最終的には著者が目指した作品から暗示される終わり方だが、プロットよりもディテールに価値があるタイプの作品と言えよう。
34冊目@22週。(上下巻は一冊でカウント)