レフト・アローン ★★★★☆

レフト・アローン (ハヤカワ文庫JA)

レフト・アローン (ハヤカワ文庫JA)

著者の『クリスタルサイレンス』は悪くは無かったけど...
散々悩んだ末、買ってしまった。もしかして、今年初の購入書籍か?

  • 購入理由1) 『象られた力(id:nbt-nona:20040914)』『老ヴォールの惑星(id:nbt-nona:20050810)』と並んで帯で紹介してたから。
  • 購入理由2) たまた図書館が休みで手元に読む本がなかったからw

レフト・アローン

表題作『クリスタルサイレンス』前日談。*1
戦闘SF&ラブストーリィで”売り”には事欠かない。
だが、これを巻頭に、表題作に持ってくるのはどうなのか。全5作を読み終わった後になってようやく本作を押し出した理由がわかったような...他の収録作品に比べればハードSF度が低いので読みやすいということもあるだろう。目新しいネタは仮想空間での視覚処理くらい。
しかし、実質上のデビュー作ということを考慮しても、本作は今ひとつの読後感。

猫の天使

近未来を舞台にした、猫ハードSF(笑
近未来なので科学考証はコッテリ。猫的認知科学を軸に、驚愕のSFオチも有り。微妙にイーガン風味?

星に願いを ピノキオ2076

『クリスタルサイレンス』後日談。元ネタはラッカー?*2
でも、ラッカーじゃないから描写もストーリィ展開もハードに進んでいく。オチには、少ししんみり...

コスモノーティス

ポストヒューマン系SF。本作が最も遠未来的。
人間が宇宙船になっちゃうのはスターリング以降珍しくもないと思うが、スイーパー(デブリ除去)、プレデター(人口調節!)、テザー(軌道エレベータからの加速)など、笑える人種が多数登場。生態学的、ネットワーク的考察が著者ならでは。

星窪

『ハイドゥナン』関連の書き下ろし中篇。てか、『ハイドゥナン』読んでない...
奄美大島を舞台に、書簡形式で書かれた物語は、昭和時代の回想風味。奄美の自然描写と、宇宙規模の壮大なスケールが交錯するSF的芸術論。

総評

確かに『象られた力』『老ヴォールの惑星』と比肩する内容。
でも「レフト・アローン」がイマイチだから★4。『老ヴォールの惑星』よりは推す。

14冊目@第10週。

*1:『クリスタルサイレンス』をザックリ立ち読みしてみたら、このエピソードは取り込まれてた。

*2:同じく、『クリスタルサイレンス』でも使われてたネタ