続編の『宙の地図』が読みたかったので手を出した。2010の海外3位だが、たぶんSF度が低そうで当時は手が出なかった。
つまり、
ヴィクトリア朝でH.G.ウェルズが主役の時間SFっぽいのに、なんで青背じゃなくてNVなのかという、正しい疑問。
作中の設定を借りれば、SFの核の外側をショートカットしてるみたいな。つまり四次元空間。
というか、(以下ネタバレ)
三部構成の第一部、第二部はインチキ・タイムトラベルが骨格で仰天。
正直、第一部の途中まではバカSFみたいな展開にウェルズの人物説明が長くてイライラしていたが、ラストで吹いた。
さらに第二部。ちょうど上巻の巻末あたりで二度吹いた。後半お約束展開だけどニヤニヤ。
第三部はどうくるかと思ったが、まさかの正統SF。正統なオチだけに、ここだけ中編として抜き出したらそれほどではないが、前半2/3の重みがあるから活きる。あと、ネタがネタだけに、全巻を通してリアリズム作品と読めなくもない。
最近はSFを読みつくしつつあるだけに、境界圏が増えてきているなあという典型。
面白ければSFかどうかなど気にはしないのだが、時々は正統SFが読みたくなる...