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ブラインドサイト ★★★★☆

刊行前に、テッド・チャンの解説入りと聞いて興味を引いた。たしか創元編集部あたりのツイート。

他に読むものがないという事情もあったが、初めて図書館のリクエストを利用してみた。入荷まで 1ヶ月。他に2人予約が入っていたが、過去の予約経験から言っても市内の翻訳SFファンは3人くらい居る、という感じか。

リクエスト後に、『SFが読みたい!』第 2位と知った。『言語都市』より上に来るかな~?

ブラインドサイト<上> (創元SF文庫)

ブラインドサイト<上> (創元SF文庫)

 

 書誌データ見たら、しっかり著者にテッド・チャンが入ってる... 日本語版限定解説だからか。だが、内容的にも小粒だがピリリと辛い、本書とバランス的に良く合うものだった。

ブラインドサイト<下> (創元SF文庫)

ブラインドサイト<下> (創元SF文庫)

 

 概要は、形式的にはファーストコンタクトものだが、主題は意識。科学的にも最近流行りらしい無意識と意識の問題。かなり大胆な展開で、テッド・チャンは全面否定なんだけど、著者解説でも「本書は思考実験」という記載がある。SFの主成分としては思考実験は全然許容だが、今ひとつ入り込めないところがあるのは、そのせいかな。他のSFパーツでも、博士号持ちらしく論文も読み込んでキラキラしたものをたくさん散りばめているのだけど、「僕が初めて考えたんだもんね」的自意識が見え隠れして醒める。ていうか著者後書きでわざわざ自慢してる... あと異星人の設定とか吸血鬼も、そんな使われ方かよ、みたいな単なるガジェット感。

文句ばかり書いたけど、意識の問題は難しくて、解説で触れてた『ハーモニー』にしても初読時には何かピンとこなかった。また、テッド・チャンが言うように、本書の意見に与するかどうかはさて置き、一読に値するのは確か。

以下、追記: 

多少寝かして整理できたところを書くと、思考実験さらにはゲームという本書のスタンスは、意識などというデリケートな問題を扱うには軽い。軽すぎる。精神病理について当事者的立場から言わせてもらえば、著者の信念みたいなものが入って無いと、共感的に読めない。類書でも、わからないなりに気合の塊りみたいな『ハーモニー』とは明らかに違う。気がする... (伊藤計劃フィルターがかかっているだけかもしれない)