アイの物語 ★★★☆☆

アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)

図書館でハードカバー版を予約して借りた。結構予約待ちした上、延滞して申し訳ない。
SFが読みたい!2007』第2位。星付け辛めだが、amazonのレビューは軒並み★5でビビッた。
AIネタの短編5作に書下ろしの中篇「詩音が来た日」と表題作、つなぎの短編を足して長編化したもの。短編を組み込んだところは、うまくやっているようなイマイチなような。こういう組み込み方(物語内物語)ならこれでいいような気もするが、初出がライトノベル系?のものとか、もうちょっとリライトしてもいいような。分量的には書下ろしが半分以上ではあるが。
中篇は「詩音が来た日」が良かった。リアリティとか余韻とか、主人公と詩音との禅問答なんかは著者らしい理屈っぽさが最高。(ちなみに詩音の結論は、自分としては普通に受け入れられることではある。)これが良いだけに、長編としては表題作の前に盛り上がりが過ぎた感があった。物語の力とか、宇宙に出るお約束とか、既視感があって、この作品単独で正当な評価ができてないかもしれない。『神は沈黙せず』とも比べてたし。
またいつか再読すれば印象が違うのかも。

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絶賛していた。しかし、『神は沈黙せず』やイーガンの『万物理論』に対する評価は、難解とかいうことでない立ち位置の違いがある。
後から思ったのは、フィクションとして読むか、SFとして読むかという辺りが。あえて一言でまとめるなら。