20世紀SF(5) ★★★★☆

20世紀SF〈5〉1980年代―冬のマーケット (河出文庫)

20世紀SF〈5〉1980年代―冬のマーケット (河出文庫)

冒頭からギブスン「冬のマーケット」、スターリング「美と崇高(初訳)」、ラッカー「宇宙の恍惚」は各々イメージ通り、というかスターリング以外は他の短編集で読んだことあるはずだが既に忘れてる。
カード「肥育園(初訳)」は、あまり好きじゃない作家だけど、この短編は小説の巧さが目立つ。
ベア「姉妹たち」だけは、短編集『タンジェント』で読んだ記憶が蘇った。普通の人間と改変後の人間を見守る視線が暖かい。
ドライヤー「ほうれん草の最期(新訳)」は、クラッカーねた第一号というだけで選ばれたっぽい小ネタ。一個飛ばしてスティーグラー「やさしき誘惑」もナノテクSF第一号認定とのことだが、こちらは長編のように壮大なお話。
ディ・フィリポ「系統発生」が個人的には収穫。ウイルスの様に改変された人類の姿を描いた。
ウィリス「リアルト・ホテルで」は、映画ねた満載どたばたコメディ。量子力学テーマでは初期に属するらしいが...この人のコメディはイマイチ苦手。
ドゾワ「調停者(初訳)」は宗教カルトねたで、二番目に収穫。
ワトソン「世界の広さ」は奇想系。
ライマン「征たれざる国」は幻想文学系だが、非・欧米人としては微妙な読後感...
図書館でお取り寄せ。