ハイドゥナン ★★★★★

ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)

ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)

ハイドゥナン (下) (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

ハイドゥナン (下) (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

『SFが読みたい!2006』第4位。個人的には『老ヴォールの惑星』より本作を第1位に推したい。上巻煽りの「日本SF史上最高の科学小説」は偽り無し。我々の世代には『日本沈没』へのオマージュとも読めるが、著者専門の地球物理学的知見を基に、天変地異を人為的に治めるべく奇想天外の超理論;ISEIC理論が炸裂。イーガンの某理論を彷彿させるが、モノに依ってるので地に足が着いてる感じがするし、日本人ならではの発想がしっくり来る。登場するSFガジェットも、2032年と近未来の設定だから本当に実現しそうなものばかり。

結局は非常に単純なプロットではあるのだが、1000ページを最後まで読ませる力がある。与那国の情景描写も一端を担っているかも。ただし、200〜300ページあたりまでは物語に入り込めなかった。「お化けノートパソコン」も、もうちょっと活躍してほしかったかも。

『SFが読みたい!』では、本作は長すぎて読んでない人が投票してないのではないか、という気がしないでも無い。自分自身、一度図書館で借りて序章だけ読んで返却してるし...
少なくとも著者の『クリスタルサイレンス』よりはお気に入りなのだが、主流のSFファン的には地味な話なのだろうか。あんまり宇宙寄りじゃないハードSF。

図書館で借りて読んだが文庫化したら購入するぞリスト入り。

21冊目(上下巻を一冊でカウント)@第15週。