神は沈黙せず ★★★★★

神は沈黙せず

神は沈黙せず

2003年は国内SFの大当たり年だった。
本作の前に読んだ『忘却の船に流れは光』は、『SFが読みたい』第4位だが自分の評価は★★★★★*1id:nbt-nona:20060210)だったので、未読だった第3位の本作に手が伸びた。ちなみに第1位は『マルドゥック・スクランブル』、第2位は『第六大陸』でどちらも既読。

で、4作品の主観的順列は本作が第1位、第2位は『第六大陸』、第3位は『忘却の船に流れは光』、『マルドゥック・スクランブル』は第4位というより評価の軸が自分のSF観から少しズレる、という結果になった。

本作のテーマは「神」であり、中身は本格SFだ。また超常現象も大きなテーマである。懐疑主義者の立場から、真っ向勝負で相応の結論を導き出しているところを大いに評価したい。ハードカバー約500ページの大作だが一気に読める読みやすさだった。

ただし、資料を大量に読み込んだお勉強小説にありがちな、詳細すぎる記述に萎えたところもあった。たとえば近未来予測は、かなり的を得てるが長すぎる。超常現象の事例は、「と学会」会長たる著者の面目躍如なのだろうが、こんなにたくさんいらないと思った。

瀬名秀明にイーガン色が若干加わったテイストを感じた。
図書館で借りたが、もし文庫化されたら買おうかな。

*1:後日★4に変更w