紙葉の家  マーク・Z・ダニエレブスキー (ISBN:4789719685) ★★★★☆

紙葉の家
850P、¥4,800のハードカバーのため是非図書館で借りたいと思っていた本。たまたま宿泊出張の前日に借りることができ、出張期間中に読了。
本書を知ったきっかけは『SFが読みたい!2004 (ISBN:4152085452)』。海外SFの第7位に選ばれており、「書籍版ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の吊りに惹かれた。
SFというよりはホラーだが、英米主流文学界の評価も高いらしい、というようなことが巽孝之の後書きで書いてあった。吊りの続きは「家と家族をめぐる豊穣なる物語」となっており、これは一語一句が物凄く的確だ。
本書の内容を書き記すのは面倒なので『SFが読みたい!2004』から全引用。

著名なカメラマン、ネイヴィッドソンと彼が探検した外部よりも内部のほうが大きな家の話が物語の核。彼の編集した探検の様子を収めた映画の話がその外に、孤独な老人ザンパノによる映画の研究記録がさらに外に、そしてザンパノの死に立ち会った刺青師見習の青年ジョニーの話と彼の施した膨大な脚注が最も外に位置し、全体として本書を構成することになる。
各段は互いに侵蝕し、やがて最奥に位置する「家」の力に囚われていく。

これに装丁上の色々な仕掛けが絡みまくる。「家」の文字だけ全部青色だったり、1ページに1文字しかなかったり、そうかと思えば脚注が数ページ続いたり。
前述したように、文学者の人が切り刻んでネタにするには良さそう。
文庫化されたら買ってもいいかな、と一瞬思ったが装丁的に不可能か?